行政書士の相続業務とは?FPの知識の活かし方!
行政書士とFP(ファイナンシャルプランナー)という二つの資格はうまく活かすことができるでしょうか。
行政書士とFP(ファイナンシャルプランナー)は、ともに取り扱う範囲が広く重複する部分があるという特徴があります。
その中でも相続業務に関する部分は双方の相性が良いとも言われています。
実際に行政書士とFPの両方の名前を事務所の名前として経営されている事務所もあるので、やり方次第ではうまく活かせると言えるのではないかと思います。
この記事ではそんな行政書士とFPの相続業務に関してまとめてみました。
行政書士とFPのダブルライセンスってどう?
まずは、それぞれの資格の特徴を簡単に紹介します。
行政書士とは
主に官公署へ提出する権利関係に関する書類等の作成、申請を代理したり、申請・届出などの書類に関する相談を業務することで報酬を得ることができる士業の一つです。
行政書士の資格を取る方法の中でもっとも多いのは、毎年11月に行われる行政書士試験(国家資格)に合格することで、受験資格は特になく、誰でも受験することができます。
詳細 ⇒ 【知らなきゃ損する】行政書士とは?就職や転職に有利?
FP(ファイナンシャルプランナー)とは
FP(ファイナンシャルプランナー)は、家計に関する金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など幅広い知識を有し、相談者の人生の夢や目標を叶えるサポートをする専門家です。
行政書士と違い国家資格と民間資格の2種類があり、受験するための資格が必要なものもあります。
詳細 ⇒ 【知らなきゃ損する】ファイナンシャルプランナーとは?就職や転職に有利?
せっかくなら相乗効果をねらいたい
行政書士とFPの相性は良いと言われています。
せっかく2つの資格を取得しているなら、その 相性の良さで相乗効果をねらいたいですね。
ダブルライセンスとしての強みを生かせれば、大きなアドバンテージになります。
実は、2つの資格ともにその業務範囲はかなり広く、これらの二つの資格が相互に補完し合えるような業務に特化することができると他士業との差別化が図れそうです。
共通する業務を見つける
行政書士とFPに共通する業務の代表となるのが、本記事にタイトルにもなっている相続業務です。
現在、行政書士試験を勉強している中でも、FP試験で勉強した相続分野に近い範囲が民法に含まれています。
※ただし、行政書士の出題範囲の中では、その割合は低いので勉強した知識だけではあまり残念ながら得点アップには直結はしません💦
行政書士として相続に関連する相談を受けた時には、相続人を確定したり、相続関係図の作成や遺産分割協議書・相続財産目録などの作成などの書類を作成する手続きを代理します。
実は、このような相談を受けたときに、FP(ファイナンシャルプランナー)としての知識があれば、財産管理のコンサルティングや相続に関する相談、そして相続した後のライフプランの提案などを行うことができます。
反対に、FP(ファイナンシャルプランナー)の業務が主とした場合でも、実際の書類の手続きの代行をそのままお客様に提供できるので、お客様にとってもメリットがあります。
それは競合他社と差別化する一つのアドバンテージにもなるわけです。
ちなみに、行政書士は許認可をメインとして業務を行っているケースも多いわけですが、その場合お客様は経営者である場合が多いです。
つまり、行政書士の手続きをきっかけとして、お客様の資産運用はライフプランなどを提案することもできます。
行政書士は他の士業と比較すると、企業や事業主の顧問などになって定期的に収入を得られる機会が少ないと言われているので、継続して経営者などとの関係を築ける大きなメリットとなります。
行政書士の相続業務とは?
ここでは、具体的に行政書士が行える相続問題について、もう少し詳しく記載していきたいと思います。
表1に相続の際に必要な手続きの一覧を掲載しています。
項 目 | 内 容 | 費用の相場 |
---|---|---|
遺言書作成 | 主に普通方式遺言を言い「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類がある | 5万円 ~ 20万円 |
相続人調査 | 誰が相続人になるのかを確定するための調査のこと | 3万円 ~ 8万円 |
遺産分割協議書の作成 | 遺産分割協議で合意した内容をまとめて書類を作成する | 3万円 ~ 5万円 |
遺言の執行や執行者になること | 遺言の内容を実現するために必要な手続きをする | 20万円 ~ 40万円 |
財産調査や遺産目録の作成 | 相続財産の種類や金額(評価額)をまとめて一覧表にする | 3万円 ~ |
相続関係図の作成 | 亡くなった人(被相続人)と相続人の関係が一覧になってまとめた表の作成 | 3万円 ~ 4万円 |
戸籍取得 | 行政書士に与えられた権限で顧客の戸籍を取得する | 5千円 ~ |
銀行預金の相続手続き | 凍結した預貯金を引き出せるようにするための銀行口座の相続手続 | 3万円 ~ |
株式の名義変更手続き | 故人の所有株式を相続人へと名義変更または換価手続きの代行 | 2万円 ~ 10万円 |
自動車の名義変更手続き | 相続により自動車を取得した場合に、現所有者から新しく所有者となる方の名義に変更する手続き | 1.5万円 ~ |
高齢化とともに需要アップ?
相続業務にとって更なる追い風が高齢化です。
総務省のデータによると、総人口に占める高齢者人口の比率は2022年には29.1%と国民の4人に1人以上が高齢者となっています。
相続業務の発生はどうしても高齢者が多くなりますので、そういった意味でも高齢化は相続業務にとっては追い風になることが見込まれます。
ただし、行政書士はすべての相続に関する業務を行えるわけではありません。
たとえば、遺言や遺産分割協議の内容・相続人同士のトラブルや交渉などの法律相談を受けることはできません。(弁護士の独占業務)
また、不動産の登記なども司法書士や弁護士の独占業務に当たるため行政書士は行うことができません。
それどころか、この点を熟知しないまま業務を受任してしまうと他士業法違反を指摘されて 自身が懲戒処分を受け、お客様に迷惑をかけることにもなりかねません。
とはいえ、お客様の依頼はさまざまですし、依頼するお客様にその業際(各士業の業務範囲)を求めることはできません。
そんな時に、他士業とのパイプを常日頃から持っておくことで、お客様に適切な他士業を紹介できるようにしておくことも重要です。
行政書士の相続業務とは?FPの知識の活かし方のまとめ
いかがでしたか?
この記事では、行政書士の相続業務とFPとのダブルライセンスでより強みが持てる点について解説をしてきました。
コロナ禍の中で行政書士・FP(ファイナンシャルプランナー)ともに、かなり人気のある資格となってきています。
特に、行政書士は実務経験がなくても開業ができる数少ない国家資格の一つなので、今後もこの人気は続きそうです。
反面、日本の人口は減り続けているということもあり、顧客の奪い合いも想定されますし、その中で生き残るための方法の一つとしてFPとのダブルライセンスを生かす道もあるのではないでしょうか。
私自身は現在保有しているのはFP2級のみで、行政書士試験に挑戦中です。
もちろん資格を保有している=食べていけるとは限りませんし、世の中そんなに甘くはありません。
ただ、 まずは試験にパスして資格を保有しなければ始まりません。
がんばるしかないですねぇ。
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