旅行業務取扱管理者の取扱でさらに狭い範囲の資格とは何?スグに使える!
私の奈良に住む知人(旅館の息子さん)から奈良の町おこしをしたいという話を聞きました。
おそらくこのような悩みは多くの観光地にある旅館やホテルのオーナーや女将さんが持っているものではないでしょうか?
観光業界には旅行業務取扱管理者という唯一の国家資格があります。
実は、旅行業務取扱管理者は、長い期間、総合と国内の2種類でした。
2007年に第3種旅行業者に募集型企画旅行の実施を認める法改正があったんですが、営業保証金などの問題もあり新規参入はあまりなかったんですね。
そこで、2013年にさらに要件を緩和した地域限定旅行業者が誕生しました。
そして、ついに2018年1月の改正で旅行業務取扱管理者試験に地域限定試験が追加されました。
取り扱える範囲は狭いものの、国内旅行業務取扱管理者試験よりも出題が狭い範囲となり取得しやすくなりました。
そして、起業に関してもお金の要件が緩くなったことでスグに使える資格となったわけです。
地域限定の試験と起業に関するメリットとデメリットを解説していきたいと思いますので、町おこしで地域の活性化を勧めたい人や地域観光に興味のある人はぜひ参考にしてください。
もっと奈良の良いところをじっくり見て欲しい
引用:都道府県別宿泊施設タイプ別客室稼働率(平成30年1月~12月(速報値))(https://www.mlit.go.jp/common/001274858.pdf)
国土交通省の平成30年の県別の客室稼働率を見ても、大阪府79.8%、京都65.5%と比較すると、奈良県は44.7%と低く、全国的に見ても、ワースト3になっていますからね。
着地型観光が注目を浴びてきているという事実
コトバンクによると、着地型観光とは、
「観光客の受け入れ先が地元ならではのプログラムを企画し、参加者が現地集合、現地解散する新しい観光の形態。
主に都会にある出発地の旅行会社が企画して参加者を目的地へ連れて行く従来の「発地型観光」と比べて、地域の振興につながると期待されている。」
実はこの形態は以前からもあったんですね。
わかりやすい例で言えば、旅行先で参加するオプショナルツアーのようなものですね。
そのオプショナルツアーを旅行の中から独立させて、より地域と密着したものにすることで、新しい観光の素材を見つけ地域活性化につながるツアーが注目され始めています。
また、旅行業法にも地域限定旅行業者が制度化され、もともと国内と総合の2つしかなかった旅行業務取扱管理者に「地域限定」という種目が追加されたんです。
国内と地域限定の違いとは?
地域限定旅行業務取扱管理者のメリットは?
地域限定の大きなメリットは二つあります。
1.地域限定旅行業務取扱管理者試験の出題範囲が狭くなった
平成30年度に第1回の試験が実施されました。
試験科目は、法令、約款、国内旅行実務の3科目で国内旅行業務取扱管理者試験と同じです。
ただ、着地型旅行事業にかかわる管理者の試験であるということから、航空運賃に関わる運送約款と利用料金、国内地理等が出題範囲から除外されています。
国内旅行業務取扱管理者試験と比較しても、勉強する範囲が狭くなるので、そのハードルは低くなりますね。
2.起業にかかるお金に関する要件
別の記事で起業に関する要件を解説していますが、第3種で起業する場合と地域限定で起業する場合を比較すると営業保証金と基準資産は以下のようになります。
🔎上表はクリックで拡大できます。
必要な費用もかなり少なくて済むため、地域限定旅行業者は今後も増えてくるのではないかと思っています。
また、地域限定旅行業務取扱管理者試験はまだ始まったばかりでデータがないのですが、国内旅行業務取扱管理者の受験者を業種別で見ると面白いことがわかります。
それは、旅行業の人達の受験者数が減少しているのに対して、宿泊業・運輸業・観光業の人達の受験者が増えていることです。
地域限定旅行業務取扱管理者のデメリットは?
1.地域限定旅行業務取扱管理者試験の受験地が少ない
まだ、始まったばかりの地域限定旅行業務取扱管理者試験の受験地は東京と大阪のみです。
受験者にとって、せめて日帰りで受験できる受験地を増やして欲しいところですね。
受験者数が増加するにつれて、解消されるのではないかと思います。
2.企画旅行、手配旅行の催行区域が限定される
地域限定旅行業は、自らの営業所のある市町村等、これに隣接する市町村等及び観光庁長官の定める区域内(拠点区域内)であれば、企画旅行、手配旅行を取扱うことができると謳っています。
逆に言うと、その範囲外の企画旅行、手配旅行はできないという制約があるわけですね。
ただ、これはデメリットとは言えないかもしれませんね。
なぜなら町おこしが目的な場合には、限定された地域でのみ催行できれば問題ないからです。
旅行業務取扱管理者の分類や起業費用などは以下の記事を参考にどうぞ。
旅行業務取扱管理者資格は旅行会社を起業するときには必ず必要です。もちろん資格を持っているから必ず起業して成功するというわけではありませんが、せっかくの資格の賢い使い道をしっかり理解しておくとよいかと思います。この記事を読めば旅行会社を起業する時の疑問点がスッキリ解決しますよ。
旅行業務取扱管理者の地域限定資格を取得する!
まず、国内と地域限定旅行業務取扱管理者試験では、試験を実施する団体が違います。
国内旅行業務取扱管理者は観光庁長官の指定協会としてANTA(一般社団法人 全国旅行業協会)が試験を実施しています。
一方、地域限定旅行業務取扱管理者試験は国土交通省観光庁が直接実施しています。
試験の範囲はともに、
1.旅行業法及びこれに基づく命令
2.旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
3.国内旅行実務
の3科目です。
1.旅行業法及びこれに基づく命令に関しては、かなり似通った問題が出題されています。
2.旅行業約款、運送約款及び宿泊約款に関しては、かなり似通った問題が出題されていますが、地域限定旅行業務取扱管理者試験には、航空運賃に関わる運送約款が出題されていません。
3.国内旅行実務に関しては、内容、出題数も大きく変わっています。
1、2では出題数はほぼ同じですが、国内旅行実務では、国内旅行業務取扱管理者試験では、全部で38問出題されていますが、地域限定旅行業務取扱管理者試験では、わずか11問とかなり少なくなっています。
地域限定旅行業務取扱管理者試験では、観光地や国立公園などの地理の問題が一切含まれていませんね。
これは、受験者にとっては、かなり暗記する部分が少なくなるので楽になると思います。
試験時間はともに120分ですので、問題数が少ない地域限定旅行業務取扱管理者試験は時間的にもゆとりが生まれると思いますね。
旅行業務取扱管理者の取扱でさらに狭い範囲の資格のまとめ
国内旅行業務取扱管理者試験の場合は、独学よりも通信講座を受講する方が、より効率的に勉強できるので独学はあまりおススメできません。
地域限定旅行業務取扱管理者試験はその範囲も狭いことから、独学でも合格はできるとは思いますが、まだ令和2年現在で2回しか実施されていません。
そのためもあってか、独学で勉強するにしても、地域限定旅行業務取扱管理者試験の参考書や問題集はないんですね。
学習の方法は、国内旅行業務取扱管理者試験の参考書や問題集を使うしかありません。
結局は、国内旅行業務取扱管理者の参考書・問題集から、地域限定旅行業務取扱管理者では出題されない部分を省くしかありません。
その手間を自分で行うぐらいなら、通信講座を受講する方が効率は良いかもしれませんね。
学生のように時間に余裕があるなら、独学でも十分に合格できるとは思いますが、サラリーマンや旅館のオーナーのように社会人として忙しい場合はなおさらです。
旅行業務取扱管理者講座を行っている運営会社を比較していますので参考にしてください。