旅行業務取扱管理者試験は独学でも取得できる?その方法とは!
結論から書くと、独学でも旅行業務取扱管理者試験に合格することは可能だと思っています。
実際にプロフィールでも書きましたが、私も完全な独学で国内旅行業務取扱管理者(当時国内旅行業務取扱主任者)と総合旅行業務取扱管理者(当時は一般旅行業務取扱主任者)に合格することができました。
ただ、国内旅行業務取扱管理者に合格して、総合旅行業務取扱管理者の科目免除の制度を利用したから一発で合格できたと思っています。
総合旅行業務取扱管理者を独学で受験していたとしたら、おそらく合格点を取れず資格を取得出来ていなかったと思いますね。
旅行業務取扱管理者試験にはどれくらいの勉強時間が必要?
では、独学で挑戦する場合、どれくらいの勉強時間が必要なのでしょうか?
私はまず国内旅行業務取扱管理者試験に挑戦しましたが、フルタイムで仕事をしており、残業も多かったので、長い勉強時間を捻出することができませんでした。
毎日夜9時以降に帰宅することが多く、お風呂と食事をした後、平日で1時間取れればよい方だったと思います。休日で2~3時間程度だった記憶があります。
いろいろとネット上などの情報を集めてみますと、国内旅行業務取扱管理者試験に合格する時間は200時間程度という声が多かったですね。
月40時間程度と考えると5ヶ月ぐらいかかる計算になります。
ただ、私の場合、当時観光業界に在籍し、旅行会社への営業等を行っており、旅行業法や国内地理など知識があったので、もう少し短時間で合格できました。
一方、総合旅行業務取扱管理者試験に関しては、国内旅行業務取扱管理者試験に合格していましたので、2科目免除ということで、約款と海外旅行実務だけになっていました。
総合旅行業務取扱管理者試験に合格する勉強時間の目安は300時間と言われていますが、2科目だけということもあり、比較的短い時間で合格できました。
おそらく自分が観光業界にいなかった場合を考えると、上記のような時間が必要だったと思います。
後は、受験するときの年齢も考慮する必要がありますね。
私の場合、国内・海外旅行業務取扱管理者ともに、30代前半でまだまだ記憶力も落ちていない年齢でしたので、うまくいったように思います。
もし今受験しようとするなら、上記のように独学で国内200時間、総合300時間ではとても合格はムリだったと思いますね。
総合旅行業務取扱管理者試験の合格が最終目標!
旅行業務取扱管理者試験には国内と総合がありますが、やはり将来的なことを考えれば総合旅行業務取扱管理者試験をパスすることを最終目標にすべきだと思います。
この記事では細かい詳細は省きますが、平成30年度より国内と総合の他に、地域限定旅行業務取扱管理者試験が始まりました。
国内旅行業務取扱管理者試験よりも、さらに限定的で取得しやすい資格ですが、権限が限定されるため、これから就職や転職で旅行業界で活躍したい人は、総合旅行業務取扱管理者試験を目指して欲しいですね。
ここで資格試験をよりわかりやすくするために、国内旅行業務取扱管理者と総合旅行業務取扱管理者をわかりやすく表にまとめました。
🔎上表はクリックで拡大できます。
総合旅行業務取扱管理者の範囲と問題傾向
試験の範囲は国内旅行業務取扱管理者試験は3科目、総合旅行業務取扱管理者は4科目になります。
・国内旅行業務取扱管理者試験の構成
🔎上表はクリックで拡大できます。
・総合旅行業務取扱管理者試験の構成
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旅行業務取扱管理者試験の特徴は、科目をまたいで全体で〇%といった仕組みはなく、すべての科目毎に60%以上を取得しないと合格にはなりません。
苦手な科目をなくすことも合格のための大きなポイントになりますね。
では、具体的に科目の特徴や問題傾向を紹介していきます。
1.旅行業法およびこれに基づく命令
旅行業に関する法律などに関する分野がメインとなります。
「旅行業法及びこれに基づく命令」の令和元年度の配点は以下の通りです。
国内旅行業務取扱管理者:4点×25問 100点満点で60点以上が合格
総合旅行業務取扱管理者:4点×25問 100点満点で60点以上が合格
私はあまり得意ではありませんでしたが、他の科目と比較すると解きやすい問題が多いです。
旅行する人には直接関係のない事項で、基本的に旅行をする人にとって不利にならないための法律ということを理解しておきましょう。
問題の文字数も少なく、毎年の出題傾向もあまり変わらないので、しっかり覚えておけば高得点が狙えます。
出題のトピックとしては
・旅行業の定義
・登録制度
・営業保証金
・旅行業務取扱管理者
・標識
・取引条件の説明
・旅程規定
・禁止行為、業務改善命令について
などが挙げられます。
一見すると幅広く記憶する範囲が多いように見えますが、出題の傾向が決まっているので、できるだけ早く問題集に取り組んで、問題の傾向を覚えてしまうと簡単です。
ただし、平成30年からは旅行業法改正によって、旅行サービス手配業者などの最新の情報も出題されるので、最新情報を学ぶようにしましょう。
絶対に古い参考書などは使わないようにしましょう。
従来の旅行業法は、旅行会社が個人の旅行者に直接サービスを提供する旅行業者のみが対象となっていました。
ただ、実際には、旅行業者からの委託を受けて、宿泊施設やバスなどの運送手段・ガイドなどを手配するランドオペレーターが存在し、ランドオペレーターは旅行業法の対象外でした。
ランドオペレーターが入ることで、利益確保のために質の悪い旅行商品を販売したり、バスなどの過剰な値引きによって安全な運航が妨げられるなどのトラブルが多発したため、
旅行業法が改正されました。
主な改正内容は以下の通りです。
① 旅行サービス手配業者の登録制を創設(第23条)
② 旅行業務取扱管理者又は旅行業務取扱管理者サービス手配業務管理者の専任を義務化(第28条第1項)
③ 管理者に対して定期的な研修受講の義務付け(第28条第6項)
④ 書面交付を義務付け(第30条)
⑤ 違法な営業を行っている土産物店への連れ回し等禁止事項を明示(省令)第31条、第32条
⑥ 業務改善命令、登録取消等の処分・罰則を整備(第36条、第37条、第74条等)
※引用:https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/shoujo/iryou_coordinate/pdf/003_05_00.pdf
2.旅行業約款、運送約款および宿泊約款
旅行会社に訪問したときに、必ずお客様の目につくところに提示しておくことが義務付けられている、旅行業約款に関する問題です。
旅行業約款、運送約款及び宿泊約款の令和元年度の配点は以下の通りです。
国内旅行業務取扱管理者:4点×25問 100点満点で60点以上が合格
総合旅行業務取扱管理者:4点×20問・2点×10問 100点満点で60点以上が合格
この科目では旅行業を運営するために知っておく「約款」について正確な知識が要求されます。
旅行契約を取り消す場合の規則や旅行業者の責任を持つ範囲などの説明が多く出題されます。
比較的旅行する人にかかわる内容が中心なので、1科目目の「旅行業法及びこれに基づく命令」と比較するとイメージがしやすいです。
出題のパターンは、「旅行業約款」が80%、「その他の約款」が20%。
「旅行業約款」では、「募集型企画旅行」や「受注型企画旅行」に関する問題が多く出題されています。
そして、その他の約款では国内試験と総合試験で各1問ずつ出題されています。
国内試験:バス・フェリー・航空(国内)・宿泊・JRに関する約款
総合試験:国内航空・国際航空・宿泊に関する約款
出題内容を一覧にまとめましたので参考にしてください。
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3.国内旅行実務
国内旅行業務取扱管理者試験でもっとも難しい科目です。
国内旅行実務の令和元年度の配点は以下の通りです。
国内旅行業務取扱管理者:4点×11問・3点×2問・2点×25問 100点満点で60点以上が合格
総合旅行業務取扱管理者:5点×12問・2点×20問 100点満点で60点以上が合格
この科目が合否の分かれ目になります。
国内旅行実務は大きく分けると2つに分かれます。
① 観光地理(全体の40%が出題の目安)
地理に関しては、もともとの知識の量によって勉強時間が大きく変わってきます。
勉強のコツは観光地や文化が何県にあるのかを地図を見ながら覚えていくことです。
とにかく地図帳を手元に置いて、何県についての出題かを常に意識して覚えていきましょう。
暗記する量は多いですが、旅行が好きな人であればもともとの知識があるので、それほど苦労はしないと思います。
② JR運賃・航空運賃・宿泊運賃(全体の60%が出題の目安。とくにJR運賃の占める割合が大きい)
国内旅行業務取扱管理者試験でもっとも難しいのがJR運賃です。
JR運賃は全体の40%を占めるを占めるので、落とせない科目です。
私も一番時間をかけて勉強した科目したよ。
とにかくあらゆる問題のパターンをそのまま暗記してしまうのが正解するコツですね。
小問が続くので、最初に躓くと大きな失点となってしまいます。
問題集を何度も繰り返し解いて覚えてしまいましょう。
基本的には一冊の問題集で良いかと思いますが、問題数が足らないと感じた場合は、2冊目に取り組んでもよい科目です。
4.海外旅行実務(国内旅行業務取扱管理者試験にはありません)
総合旅行業務取扱管理者試験でもっとも難しい分野です。
総合旅行実務の令和元年度の配点は以下の通りです。
総合旅行業務取扱管理者:5点×32問・2点×20問 200点満点で120点以上が合格
問題は大きく5つに分けられます。
その分野と配点は以下の通りです。
🔎上表はクリックで拡大できます。
① 国際航空運賃
私の中では一番ややこしい計算が必要な科目でしっかりと時間をかけた科目です。
ただ、問題は同じパターンのものが多いので、一旦しっかりと理解をしてしまえば、得点を取りやすい科目です。
国内のJRと同様に最初に間違えてしまうと大きく失点してしまうので、すべての問題のパターンを丸暗記するつもりで満点を狙いましょう。
② 出入国関連法令
旅券(パスポート)に関する問題が主になります。
パスポートの規定を覚えてしまえば確実に得点の取れるところなので、出題パターンを覚えてしまいましょう。
出入国時の問題は通関手続きが中心となっており、申請が必要なものを問う問題が出題されています。
範囲が広いのが、検疫・輸入禁止物などですが、全体でも2~3問程度なので、過去問でメジャーなものに絞って暗記しましょう。
③ 英語
これは個人差が大きく出てしまう科目ですね。
受験当時の私の英語力はかなり低く、他の4科目で得点を稼ぐような勉強方法を取っていました。
ただ、観光に関する単語が参考書に載せれていましたので、その単語については全部覚えました。
逆に、英語が得意な人は満点を狙える科目なので、他の科目の正解率が下がっても合格できるように準備すると良いかと思います。
④ 海外観光地理
海外地理も国内地理とよく似ていて、観光地・文化がどの国のものなのか地図を使いながら覚えていきましょう。
地理好きの人は満点を狙える科目だと思います。
私の場合は、とにかく選んだ1冊の参考書にある地名はすべて覚えて、その問題集も徹底して学習しました。
もともと地図帳を見るのが大好きな人間だったので、他の科目を勉強する合間の気分転換に旅行会社に置いてある海外のパンフレットを見て観光地を覚えていましたよ。
これは、勉強する中でもかなり楽しい科目でした。
⑤ 海外旅行実務
この科目では、主に時差と航空機の所要時間を解かせる計算問題とトーマスクック鉄道時刻表を読み解く問題がでています。
トーマスクックの時刻表は実際にヨーロッパに行った際に、かなり使い込んだので私にとってはありがたい得点源でした。
全体を見てみると、特に総合旅行業務取扱管理者試験は覚えなければならない範囲も広く、計算問題もかなり難しいです。
旅行業務取扱管理者試験を受ける人で旅行や観光が嫌いな人は少ないと思いますが、もともと観光や地理に詳しい人はかなり有利ですし、合格しやすい国家資格だと思います。
独学での勉強方法とは?
もっとも大きなポイントは同じ出版社の参考書、問題集を徹底して繰り返すことです。
確かに参考書選びは重要ですが、それよりも大切なのは、複数の参考書を中途半端に読まないようにすることです。
私自身も当時観光の専門学校のトラベルジャーナルから出版された参考書と問題集しか手を付けていません。
一つの参考書だけだと不安になって、ついつい他の参考書に手を出してしまいそうになりますが、あなたが受験時にもっとも評判の良い参考書を購入して徹底して読み込むことをおススメします。
そして、同じ出版社の問題集を徹底的に繰り返し学習しましょう。
苦手なテーマをいかにして無くすかが合格の鍵に!
旅行業務取扱管理者試験は、全体の合計点の内正解率が60%以上ではなく、各科目でそれぞれ60点以上取らなければいけません。
つまり、いかにして苦手な科目を無くすように勉強するかが合否に影響してきます。
私の場合、なぜかそれほど難易度は高くない旅行業法及びこれに基づく命令が苦手でした。
法律は読んでいても全く楽しいものではなかったので、勉強するのが結構苦痛でした。
そこで、考え出したことは、好きな地理とセットにして勉強するという方法です。
別の参考書は使いませんでしたが、観光地理の勉強は旅行会社のパンフレットが参考になりますし、読んでいても楽しいですね。
試験を受けた当時はホテルグループの営業所におり、ほぼ毎日旅行会社に訪問していました。
JTBや日本旅行などの各支店に訪問した際に、海外旅行のパンフレットをもらってきて、地理の勉強をしていました。
苦手な旅行業法の勉強をして、気分転換にパンフレットを見ることで、勉強そのものを長く継続できたことが良い結果に繋がったと思っています。
都心に住まれている方なら旅行会社のパンフレットは無料でもらえるので、地理の勉強の際にはぜひ試してみてくださいね。
独学よりも通信講座が確実!
ここまでは、独学で旅行業務取扱管理者試験に合格することを目標に解説してきました。
確かに、もっとも費用を使わずに旅行業務取扱管理者試験に合格するための方法として独学はおススメですが、日々のお仕事が忙しくて時間が取れない場合には、通信講座を使うという方法もあります。
私が受験した当時は、今のようにインターネットを使っての通信講座はまだ少なかったので使うことができませんでしたが、確実に短期間で効率よく合格するなら通信講座はもっとも適しているかもしれません。
通信講座は受ける運営会社によっても違いますが、20,000~60,000円と何回か飲みに行くのを我慢すれば捻出できるくらいの費用です。
旅行業務取扱管理者試験は独学で取得できるかのまとめ
いかがでしたか?
この記事では旅行業務取扱管理者、特に総合旅行業務取扱管理者を独学でも取得できるかについてお話してきました。
どうしても余分な費用は使わずに合格したいということであれば、参考書を絞り込んで徹底的に読み込んで、問題集を繰り返すことで合格は可能だと思います。
そして、独学に向いている人は、もともと地理が大好きで地図帳や時刻表などを見ることが好きな人です。
国家資格の中で独立できる資格としては、難易度はそれほど高くない総合旅行業務取扱管理者試験ですが、観光や地理にあまり興味がない人にはまったくおススメできません。
将来観光業界や旅行業界に進みたい人におススメです。
そして、学習は独学でもいいのですが、費用対効果を考えたときに、通信講座というのも視野に入れて検証されるのが良いかと思います。
旅行業務取扱管理者試験は年に1回しかありませんので、失敗するとまた1年延びてしまうので、特にまったく実務経験なし、旅行業の知識もない方は通信講座を受講をお勧めします。
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