旅行の添乗員には資格は必要?役に立つ資格とは?
会社の元部下の女性から添乗員はどうしたらなれるのかと上記のような質問を受けました。
結論から言うと、旅行のツアー(企画旅行)の添乗員をするためには、旅程管理主任者の資格が必要です。
旅程管理主任者の資格を取得するためには、旅行会社か派遣会社(旅行業専門)に所属している必要があります。
旅行業務取扱管理者を取得していても、ツアー(企画旅行)の添乗員をすることはできませんが、旅行会社に採用されるときに有利には働きます。
平成7年以前に旅行業務取扱管理者を取得している場合は、新たに旅程管理主任者の資格を取る必要がありませんが、それ以降に合格した場合はツアー(企画旅行)の添乗員にはこの旅程管理主任者の資格が必要になりました。
では、詳しく添乗員となるために具体的にどうすればいいのかを解説していきます。
添乗員になりたいけれど試験などが苦手!
人前で話をしたり、気配りするのが得意だけれど、勉強は嫌いという人も多いよ。
添乗員は旅行が好きなだけでは不十分ですね。
ツアー(企画旅行)は団体旅行なので、安全で快適な旅行ができるように世話をするため、たくさんの人に目を配り、お世話にをする「おもてなし」の精神も必要です。
逆に言うと、勉強ができるということよりも、コミュニケーションに長けている人に向いていますね。
資格がなくても添乗員を経験する方法
そんな私ですが、添乗員が複数いるツアー(企画旅行)の添乗員や何度か団体旅行の添乗員を一人で行ったことがあります。
添乗員の体験をしたい場合には以下の2つの方法がありますよ。
① ツアー(企画旅行)の添乗員を体験
まだ、私が旅行業界の世界に入ってすぐのことです。
あるフェリー会社が行っているツアー(企画旅行)があって、参加者が160名近くありました。
当然この人数では、添乗員1名ではサポートができないため、後2名が添乗員として同行することになりました。
その時に、その添乗員の1人として参加しました。
添乗員が複数いる場合には、その内の1人以上が旅程管理主任者資格を持っている必要はありますが、その人が主任添乗員である場合には、資格がなくても他の人が添乗員として同行できますよ。
この時の私は、業界用語でいうと「サブ添」だったわけですね。
主任添乗員を見本とすることができますし、自分自身の体験にもなります。
② ツアー(企画旅行)以外の手配旅行の添乗員を体験
資格を持って行う添乗員の仕事は旅程管理業務を行わなければならない、と旅行業法にも記載があります。
ただ、例えば、会社の慰安旅行で手配旅行を行う場合、団体であっても旅程管理主任者が添乗しなければならないという規則はありません。
つまり、同行はするけれども、宴会を盛り上げたり、旅行者の荷物を運ぶのを手伝ったりするだけなら、資格は不要です。
実際には、お客様と同行している以上、資格を持って行う添乗員との仕事の境界はかなりグレーなので、ほぼツアー(企画旅行)の添乗員の仕事を体験することができるんです。
旅程管理主任者研修を受けるための条件とは?
1.旅行会社か添乗員派遣会社に所属
大前提として、旅行会社もしくは添乗員派遣会社に所属していなければなりません。
ここで一つ注意点ですが、旅行会社の仕事は添乗だけではありませんよね。
旅行会社の多くは株式会社ですから、添乗員ではなく、総務、経理などに配属される可能性もあります。
旅行に直接かかわる仕事でも、お客様と店内で直接対応するカウンター業務やホテルやバス会社などに手配をする手配業務などもあります。
本当に添乗員のみをしたいのなら、添乗員派遣会社に所属するのがもっとも簡単で確実ですね。
2.旅程管理主任者研修を修了すること
添乗員になるためには、観光庁長官登録研修機関が行う旅程管理研修を修了しなければなりません。
実は私も旅行部門にいるときにこの研修を受けました。
私が所属していた会社では、TCSA一般社団法人日本添乗サービス協会がその機関でした。
この研修には国内と総合(海外)の二つがあります。
また、添乗員派遣会社に所属している場合には、この研修を受ける前に、e-ラーニング講座を受講する必要があります。
このe-ラーニング講座は、どこかに所属する前にでも個人単位で受けることができるので、派遣添乗員になりたいなら、パソコンを使える環境を用意し事前に受講しておくといいですね。
※ e-ラーニングの詳細 ⇒ 一般社団法人 日本添乗サービス協会(http://www.tcsa.or.jp/become/basictraining/elearning/)
3.添乗に関する実務を経験
上記の研修を修了した上で、国内旅程管理主任者は国内の実務、総合旅程管理主任者は海外の実務を経験する必要があります。
この実務経験を経ないと旅程管理主任者になることはできません。
旅程管理研修は難しい?受かるためには?
旅程管理研修は、国内・総合ともに下記の項目を受講すれば、ほぼ100%合格するので安心ですよ。
・国内旅程管理研修(2日間)
1日目:法令約款
2日目:国内添乗実務
・総合旅程管理研修(3日間)
1日目:法令約款
2日目:国内添乗実務
3日目:海外添乗実務&添乗英語
最後に試験がありますが、この点数が悪いからといって落ちることはほぼありません。
研修修了者に修了証明が交付されるので、それで研修は完了です。
研修が終了しても実務経験が必要!
私も旅行部門所属の時に、総合旅程管理研修を修了したのですが、その後他の部署に異動になり、実務を経験する機会がありませんでした。
そのため、せっかく修了しましたが、実務経験の期限内に添乗業務をしなかったため、資格を取るには再度旅行会社か添乗員派遣会社に入社し受けなおす必要があります。
添乗に関する実務経験としては以下の4つがあります。
② 手配旅行に添乗員として同行
③ 登録会社の研修ツアーに参加して研修
④ 協会主催の研修ツアーに参加して研修
そして、実務の期間と回数は以下の通りです。
② 旅程管理研修修了日から3年以内に2回以上
総合の場合は、海外への実務経験が必要です。
旅行の添乗員には資格は必要?のまとめ
この記事では、旅行業務取扱管理者の添乗員に資格が必要なのか、役に立つ資格はどれなのかを解説してきました。
役に立つ資格というよりも、ツアー(企画旅行)の添乗員になるためには、かならず旅行会社か添乗員派遣会社に所属し、旅程管理研修を修了し、実務経験を満たさなければなりません。
ただ、一つ一つは決して難しいものではないので、旅行が好き、人のお世話にをするのが好きな人には添乗員の仕事は向いていると思いますよ。
ただ、今回の相談者はまだ20代なので、まだまだこれから添乗の仕事を続けていけると思いますが、ある程度の年齢になってくると、ずっと添乗員で生きていくのは難しくなってくるかもしれませんね。
あくまで派遣社員なので、給料も安定しませんし、健康でなければ続けることができなくなりますから。
結婚して子供ができるとなかなか添乗の仕事はできませんから、もし余力があるなら、旅行業界での唯一の国家資格である旅行業務取扱管理者の資格を取得しておくといいかもですね。
一旦家庭に入ってから社会復帰するときに、旅程管理主任者の資格と旅行業務取扱管理者の資格を持っていると就職にも有利に働くのでおススメします。
旅行業務取扱管理者は通信講座を受ける方が効率よく勉強できるので合格しやすいですよ。