行政書士の補助者とは?どんな仕事で資格は必要?
行政書士は実務経験がなくても行政書士試験に合格し必要な手続きを整えれば開業することができます。
とはいえ、いざ開業してもまったく実務経験がない場合、何からどう始めたらよいか不安に思いませんか?
私自身も行政書士試験に合格するために、1年半近く勉強していますが、実際の実務に関してはその範囲が広すぎるということもあり、なかなか掴めないというのが正直なところですね。
そんな時の一つの方法として、あまり日頃聞きなれない行政書士の「補助者」という仕事があります。
結論から言いますと、補助者とは仕事内容は行政書士のサポートであり、実務を覚える有効な方法になります。
また、補助者は行政書士試験に合格しないといけないといった特別な資格は不要です。
この記事では、そんな行政書士の補助者について解説をしてみたいと思います。
行政書士として実務経験がなくて不安!
繰り返しにはなりますが、実務経験がなくても開業できる資格である行政書士ですが、なかなかその仕事の実態に関して、日頃見ることが少ないと思います。
司法書士や税理士・弁護士などは企業に勤めていても接する機会は結構ありますし、私自身も司法書士・税理士の先生とは何度もお会いし実務のことでも相談しました。
今この記事を書いている現時点では、実際に行政書士の先生と接する機会を得られていません。
資格を持っているということは、大きなアドバンテージでもありますが、決してそれがすぐ生きていく上での糧になるとは限りませんね。
そういう意味でも補助者として行政書士事務所に勤めることができるとその不安をかなり解消できるのではないでしょうか。
補助者の仕事内容とは
では、実際に補助とはどのような仕事をするのでしょうか。
ここでは大きく事務所内での仕事と社外での仕事の2つについて紹介していきます。
所内での補助者の仕事
勤務する行政書士事務所に事務員がいる場合には、来客時や電話の対応、郵便物の処理などの必要はありませんが、事務員がいない場合には補助者が行うことになります。
・補助者は行政書士の指揮監督のもとに、官公署などへ提出する書類を作成
・官公署への書類の提出
・証明書類などを官公署へ請求
・顧客との対応
※事務員は上記のような仕事をすることができません
主だった仕事は行政書士が行う書類作成のサポートです。
つまり、行政書士が行っている業務を体感する機会を得られるわけですね。
行政書士試験に合格し、実務経験がない場合に補助者の経験があると開業時の大きなアドバンテージになります。
必要なスキルとしては、最低でも基本的なパソコンの操作ができること。
また、顧客に直結する仕事なので、書類作成のミスを起こさないような慎重さ、スピード感なども必要と言われています。
社外での補助者の仕事
勤務する行政書士の扱う分野にもよりますが、許認可などを取扱う場合には、行政書士の代理として、官公署に書類を提出に行く機会も多くなります。
行政書士が顧客獲得などに注力する場合には、役所などを回る頻度も上がります。
ただ、あくまで所属する行政書士事務所の補助者としての資格で書類を提出するので、訂正などがあってもその場では基本行うことは出来ず、その内容を正確に聞き取り持ち帰らなければなりません。
一般人としてはあまり行くことのない官公署などに行く機会を得られるというのもメリットの一つです。
補助者になるために資格が必要?
繰り返しになりますが、補助者になるためには特別に資格は必要ありません。
この後に掲載する所定の手続きをすれば補助者として働くことができます。
ただし、下記のように行政書士補助者になれない場合もありますので注意が必要です。
1.満18歳に達していない者
2.破産者で復権を得ない者や禁錮以上の刑に処せられた者等
3.行政書士又は行政書士法人から懲戒解雇され、その日から3年を経過していない者
4.行政書士又は行政書士法人の補助者としての誠実な業務遂行が阻害されるおそれのある者
5.臨時に使用する者
※行政書士会補助者規則 (準則)第4条参照
補助者に関する手続き
ここからは補助者になるための登録手続きや補助者バッジなどについて解説します。
補助者の登録手続き
補助者は事務員と違い行政書士法に定められており、行政書士会(たとえば大阪なら大阪府行政書士会)への登録が必要とされています。
補助者を置く行政書士は下記の書類を行政書士会に提出しなければなりません。
ここでは大阪府行政書士会の場合を例に記載しています。
・補助者設置届(様式第1号)1通
・補助者となる者の履歴書(任意様式、A~D記載のこと)1通
A)在職期間を明記した職歴
B)勤務先名称
C)保有資格
D)行政書士事務所入所日
・会員の誓約書(様式第2号)1通
・補助者の誓約書(様式第3号)1通
・住民票(原本、届出提出日3ヶ月以内のもの) 1通
(補助者となる者の住所・氏名・生年月日記載、届出提出日3ヶ月以内)
・上半身写真(設置届の上部空白部分に貼付)1枚
(縦3×横 2.5cm、無背景で届出提出日3ヶ月以内に撮影されたもの)
・手数料 ¥5,000-
なお、各都道府県の住所及び電話番号 及び補助者設置届出手数料は表1の通りです。
表を見るとわかる通り、1,000円~5,000円と県によって差があります。
規則に手数料がかかる旨はあっても金額まで記載されていないところやホームページに補助者の登録費用が記載されていないところが多いです。
実際には会員しかログインできない場合や私の情報収集能力に問題があって記載出来ていない点もあります。
連絡先を記載しておりますので、申し訳ありませんが必要がある場合には確認をお願いします。
都道府県 | 名 称 | 住所 | 電話番号 | 補助者設置届出手数料(円) |
---|---|---|---|---|
北海道 | 北海道行政書士会 | 〒060-0001 北海道札幌市中央区北1条西10丁目1-6 北海道行政書士会館 | 011-221-1221 | 2,000 |
青森 | 青森県行政書士会 | 〒030-0966 青森県青森市花園1丁目7番16号 | 017-742-1128 | |
岩手 | 岩手県行政書士会 | 〒020-0024 岩手県盛岡市菜園1丁目3番6号 農林会館5F | 019-623-1555 | |
宮城 | 宮城県行政書士会 | 〒980-0803 宮城県仙台市青葉区国分町3丁目3-5 | 022-261-6768 | |
秋田 | 秋田県行政書士会 | 〒010-0951 秋田市山王4丁目4番14号 秋田県教育会館3階 | 018-864-3098 | |
山形 | 山形県行政書士会 | 〒990-2432 山形県山形市荒楯町1丁目7番8号 | 023-642-5487 | |
福島 | 福島県行政書士会 | 〒963-8877 福島県郡山市堂前町10番10号 | 024-973-7161 | 1,000 |
茨城 | 茨城県行政書士会 | 〒310-0852 茨城県水戸市笠原町978-25 開発公社ビル5F | 029-305-3731 | |
栃木 | 栃木県行政書士会 | 〒320-0046 栃木県宇都宮市西一の沢町1番22号 | 028-635-1411 | |
群馬 | 群馬県行政書士会 | 〒371-0017 群馬県前橋市日吉町1丁目8-1 前橋商工会議所会館4階 | 027-234-3677 | |
埼玉 | 埼玉県行政書士会 | 〒330-0062 埼玉県さいたま市浦和区仲町3-11-11 | 048-833-0900 | 1,000 |
千葉 | 千葉県行政書士会 | 〒260-0013 千葉市中央区中央4丁目13番10号千葉県教育会館本館4階 | 043-227-8004 | |
東京 | 東京都行政書士会 | 〒150-0045 東京都渋谷区神泉町8-16 渋谷ファーストプレイス4階 | 03-3477-2881 | 2,000 |
神奈川 | 神奈川県行政書士会 | 〒231-0023 横浜市中区山下町2番地 産業貿易センタービル7階 | 045-641-0739 | |
新潟 | 新潟県行政書士会 | 〒950-0911新潟市中央区笹口3丁目4番地8 | 025-255-5225 | |
富山 | 富山県行政書士会 | 〒930-0085 富山県富山市丸の内1丁目8-15 余川ビル2F | 076-431-1526 | |
石川 | 石川県行政書士会 | 〒920-8203 石川県金沢市鞍月2-2 繊維会館3F | 076-268-9555 | |
福井 | 福井県行政書士会 | 〒910-0005 福井県福井市大手3丁目4番1号 福井放送会館3階K室 | 0776-27-7165 | |
山梨 | 山梨県行政書士会 | 〒400-0031 山梨県甲府市丸の内3丁目27番5号 | 055-237-2601 | |
長野 | 長野県行政書士会 | 〒380-0836 長野市大字南長野南県町1009-3 | 026-224-1300 | |
岐阜 | 岐阜県行政書士会 | 〒500-8113 岐阜市金園町一丁目16番地 NCリンクビル3F | 058-263-6580 | |
静岡 | 静岡県行政書士会 | 〒420-0856 静岡市葵区駿府町2番113号 | 054-254-3003 | |
愛知 | 愛知県行政書士会 | 〒461-0004 名古屋市東区葵一丁目15番30号 | 052-931-4068 | 2,000 |
三重 | 三重県行政書士会 | 〒514-0006 三重県津市広明町328番地 津ビル2階 | 059-226-3137 | |
滋賀 | 滋賀県行政書士会 | 〒520-0056 滋賀県大津市末広町2-1 滋賀県行政書士会館 | 077-525-0360 | |
京都 | 京都府行政書士会 | 〒601-8034 京都市南区東九条南河辺町85番地3 | 075-692-2500 | |
大阪 | 大阪府行政書士会 | 〒540-0024 大阪市中央区南新町1丁目3番7号 | 06-6943-7501 | 5,000 |
兵庫 | 兵庫県行政書士会 | 〒650-0044 兵庫県神戸市中央区東川崎町1丁目1番3号神戸クリスタルタワー13階 | 078-371-6361 | |
奈良 | 奈良県行政書士会 | 〒630-8241 奈良県奈良市高天町10-1 T.T.ビル3階 | 0742-95-5400 | |
和歌山 | 和歌山県行政書士会 | 〒640-8155 和歌山市九番丁1番地 中谷ビル2階 | 073-432-9775 | |
鳥取 | 鳥取県行政書士会 | 〒680-0845 鳥取市富安2-159久本ビル5F | 0857-24-2744 | |
島根 | 島根県行政書士会 | 〒690-0888 島根県松江市北堀町15 島根県北堀町団体ビル2F | 085-221-0670 | |
岡山 | 岡山県行政書士会 | 〒700-0816 岡山県岡山市北区富田町一丁目7番15号 富田町ビル 2F | 086-222-9111 | |
広島 | 広島県行政書士会 | 〒730-0037 広島市中区中町8番18号(広島クリスタルプラザ10階) | 082-249-2480 | |
山口 | 山口県行政書士会 | 〒753-0042 山口市惣太夫町2番2号 | 083-924-5059 | |
徳島 | 徳島県行政書士会 | 〒770-0873 徳島県徳島市東沖洲二丁目1番地8(マリンピア沖洲内) | 088-679-4440 | |
香川 | 香川県行政書士会 | 〒761-0301 香川県高松市林町2217番地15 香川産業頭脳化センター4階407号 | 087-866-1121 | |
愛媛 | 愛媛県行政書士会 | 〒790-0877 愛媛県松山市錦町98番地1 愛媛県行政書士会館 | 089-946-1444 | |
高知 | 高知県行政書士会 | 〒780-0935 高知市旭町2丁目59-1 アサヒプラザ2F北側 | 088-802-2343 | |
福岡 | 福岡県行政書士会 | 〒812-0045 福岡市博多区東公園2番31号 | 092-641-2501 | |
佐賀 | 佐賀県行政書士会 | 〒849-0937 佐賀県佐賀市鍋島3丁目15−23 | 0952-36-6051 | |
長崎 | 長崎県行政書士会 | 〒850-0022 長崎市馬町48番地1 長崎県市町村会館馬町別館5階 | 095-826-5452 | |
熊本 | 熊本県行政書士会 | 〒862-0956 熊本県熊本市中央区水前寺公園13番36号 熊本県行政書士会館 | 096-385-7300 | |
大分 | 大分県行政書士会 | 〒870-0044 大分市舞鶴町1丁目3番28号 ネクスト舞鶴ビル1階 | 097-537-7089 | |
宮崎 | 宮崎県行政書士会 | 〒880-0812 宮崎市高千穂通一丁目5番35号 グラン高千穂1F | 0985-24-4356 | |
鹿児島 | 鹿児島県行政書士会 | 〒890-0062 鹿児島県鹿児島市与次郎2丁目4−35 | 099-253-6500 | 3,500 |
沖縄 | 沖縄県行政書士会 | 〒901-2132 沖縄県浦添市伊祖4丁目6番2号 | 098-870-1488 |
補助者バッジについて
行政書士試験に合格し、行政書士として業務をする場合、行政書士であることを示すバッジを付けることができます。
実は、補助者にも事務員とは異なり、あくまで行政書士の監督のもとにですが、上記に述べた仕事することになり、補助者の登録をすればバッジをもらえます。
銀色のバッジで真ん中に漢字で「補」の文字があしらわれたものでなかなか素敵なバッジです。
補助者を辞めるとき
補助者になるために登録が必要なように、補助者が辞める際にも雇用する行政書士は行政書士会へ補助者解職の届出をして、補助者証を返却しなければなりません。
補助者は業務上で得た情報を守る守秘義務があり、これに違犯した場合には刑罰が科されます。
行政書士の補助といっても、顧客の個人情報なども取り扱うことになり、責任の重い仕事です。
行政書士の補助者とは?のまとめ
いかがでしたか?
この記事では、行政書士の補助者について解説をしました。
行政書士だけでなく士業は比較的事務所あたりの従業員数が少なく、行政事務所に関しては1.95人というデータがあります。
そのため補助者の求人は決して多くないというのが現状のようです。
実際に各行政書士会の補助者の登録料を調べた時も、あまり情報が見つけられなかったのはそのような業態であるからかもしれませんね。
とはいえ、行政書士の実務を自身が開業する前に経験できる貴重な場であることには変わりがありません。
環境が許されるなら、開業前の修行(経験)として補助者になることも一案かもしれませんね。
街の法律家「行政書士」資格を取得したい人は各通信講座の比較記事を参考にどうぞ
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