医療事務を目指すなら日本の医療保険制度を知っておきたい!
医療事務は当たり前なことですが、日本の医療保険制度に大きく関わっています。
医療保険制度は日頃から病気などで医療保険を受診した際に利用し大変身近のものなのですが、体系的に理解されている人は少ないかも知れませんね。
医療事務を目指すなら、基本的に日本の医療保障制度への理解は不可欠ではないでしょうか?
この記事では、できるだけわかりやすく日本の医療保険制度について解説していきたいと思います。
日本の医療保険制度とは?
いつでも、誰でも、平等に医療を受けられるってすごいことだと思いませんか?
それは、日本に国民皆保険(こくみんかいほけん)制度があるからなんです。
先進国であるアメリカにすら対象を国民全員とした公的医療制度はありません。
そんな日本独自の国民皆保険制度には3つの優れた特徴があります。
国民皆保険
アメリカなどのように日本には無保険者はおらず、すべての日本国民がなんらかの医療保険に入っています。
これって、かなりすごいことです。
フリーアクセス制度
海外には登録をした医療機関でまずは受診する必要があったりしますが、日本の場合、どこの医療機関でも、どの医師にでも自由に医療のサービスを受けることが出来ます。
現物(医療サービス)給付
私たちが医療機関の窓口で支払う金額は、治療費の全額ではなく、一部負担金のみでだけです。
1割負担のケースもあり、かなり経済的な負担が軽減されますね。
公的医療保険制度の概要
民間の医療保険もありますが、医療事務が知っておきたい保険の種類は公的医療保険です。
さて、公的医療保険の種類の前に、医療保険制度全体を理解しておく必要があります。
制度の中で、患者や医療機関、医療保険運営者がどのような関係になっているかを確認しましょう。
患者(被保険者)
保険証を持っている患者は被保険者に当たります。
保険証=被保険者証の交付を受けている医療保険の加入者になるんですね。
加入者本人以外に扶養家族がいる場合は、扶養家族もこの被保険者に含まれ、加入者と同様に医療保険給付を受けることができます。
医療機関
診察・治療行為を行う大学病院、総合病院、クリニックなどを指します。
医療事務は、この医療機関において業務を行います。
医療保険運営者(保険者)
医療保険を運営する団体を指します。(協会けんぽ・健康組合・市区町村等)
被保険者から保険料を徴収し、被保険者証(保険証)を交付します。
実は、患者の立場からは見えないのですが、この3者以外に審査支払基金が大きな役割を担っており、医療事務の診療報酬業務に深く関わっています。
わかりやすく以下のように図にしましたので、参考にしてください。
図.医療保険制度の仕組みについて
公的医療保険の種類
日本の公的医療保険にはいくつかの種類があります。
大きく分けると3つにわけることができますが、医療事務をスムーズに行うために、それぞれの公的保険ごとの違いを理解しておきたいですね。
職域保険
これがもっとも基本となっている公的医療保険です。
企業の従業員や公務員、その扶養者、また、個人事業主などの自営業者を対象とする公的保険制度のことです。
社会保険などとも言われています。
そして、就業の形態によって、被用者保険と自営業者保険の2つに大別されます。
被用者保険は会社員や日雇労働者などが加入する一般被用者保険(いわゆる健康保険)と公務員や私立学校教員、船員などが加入する特定被用者保険の2種類があります。
自営業者保険は、国民健康保険組合を作ることが認められている建設業、医業、薬業などの一部の自営業者を対象とする国民健康保険を指します。
地域保険
職域保険に属さない人を対象とする公的医療保険を指します。
年齢によって市町村が運営する国民健康保険と65歳から74歳までの人を対象とする前期高齢者医療保険に分けられます。
後期高齢者医療制度
日本の医療保険制度は上記の2つの保険を柱として、国民皆保険を実現しています。
ただ、退職後所得が低くなり、医療費が高額となる高齢者世代が地域保険に加入する構造のままだと、保険料によって高齢者の財政を圧迫してしまいます。
高齢者医療を社会全体で支えるために作られた制度が、75歳以上となり、所得が一定以下の人が加入できる後期高齢者医療制度です。
医療保険制度のメリット・デメリット
医療保険制度にもメリットとデメリットがあります。
医療保険制度のメリット
さまざまな制度で医療費助成が受けられます。
国民皆保険制度では、所得や年齢による負担の上限額を一律化したり、出産などのライフイベントに合わせ、さまざま医療費助成が受けられます。
医療保険制度のデメリット
日本国民はすべての人がいずれかの公的医療保険に加入しています。
ただ、それぞれの保険によって、運営団体や保険料の割合、扶養家族の保険料の支払いの有無など差異があります。
実は、会社員や公務員と比較すると、自営業やフリーランスが加入する国民健康保険は、保険料の比率が他のものよりも高めであったり、扶養家族の保険料まで支払う必要があります。
そして、会社員に助成される傷病手当金や出産手当は、国民健康保険では組み込まれておらず、公的医療保険の中ではデメリットが多い保険となっています。
また、医療費の収支バランスが崩れていっていることも大きな社会問題です。
国民皆保険が導入されたころと比較すると高齢化が進み、支払われる医療費の比重が大きく、現役世代と事業主が支払う健康保険料だけでは、国民皆保険制度を維持するのが難しくなってきています。
少し話が大きくなってしまいましたが、医療事務にかかわる上では知っておきたいですね。
医療事務として知っておくべき医療保険制度に関わる知識とは
医療事務として仕事している中で、医療保険制度について案内や説明するケースがあります。
もっとも基本的な会計業務のベースとなるのは、小学生から69歳までは個人が負担する医療費は実際にかかった医療費の3割であること。
しかし、医療保険制度には、個人の医療費を軽減するための制度や給付金などがたくさんあります。
代表的な例としては、高額療養費制度。
これは、個人が1ヶ月に負担する医療費の上限を決めた制度で、医療費が数十万かかったとしても、医療保険の適用の範囲内での診療であれば、会社員の場合、8~9万円の負担に抑えることができます。
また、病気やケガで一定の期間働けなくなった場合に、給付金を受けることができる「傷病手当金」や、出産のために働くことが出来なくなった時に給付される「出産手当金」という制度もあります。
患者さんにとっては、かなり有益な情報で必要にお維持て適切に案内し説明するためにも、医療保険制度をしっかり理解しておく必要があるわけですね。
医療事務を目指すなら日本の医療保険制度を知ろう!のまとめ
いかがでしたか?
日頃は患者として当たり前のように恩恵を受けてきた医療保険制度。
実際には、少し複雑な仕組みがあることがご理解できたと思います。
医療費自体の収支バランスが崩れつつはあるものの、アメリカなどと比較するとはるかに治療を受けやすい制度であることがわかりますね。
医療事務はこの少し複雑な医療費のシステムの中で活躍が期待されています。
来院する患者さんが支払う診療代だけでは医療機関の運営は立ち行かないため、すみやかに間違いのないように審査支払機関へ診療報酬明細(レセプト)を提出し審査を受けて医療費を受け取る必要があります。
医療事務のもっとも重要な業務の一つです。
医療事務の仕事は特に資格がいるわけではありません。
ただ、このような医療保険制度も含めて、医療に関わる知識を資格を取るための学習によっても得ることができます。
将来医療事務で働きたい、そんな思いのある方は是非資格取得をおススメします。
安心のため資格を取得しておきたい人には通信講座もおススメ
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